2011年7月26日火曜日

fractale 外苑西通り編(1)

日本・・・・
東京・・・・

港区・・・・
北青山・・・・
南青山・・・・

渋谷区・・・・
神宮前・・・・
千駄ヶ谷・・・・

思えば、もう15年ほど、
外苑西通り沿いで生きている。
新卒で就職し、その会社が移転、そして独立して会社を設立、またその会社も移転、
15年間で4ヶ所。
全て外苑西通り沿いだ。

2011年3月8日、外苑西通り、
東京食品販売国民健康保険組合本部の前、
「フィアット500アバルト・トリビュートフェラーリ」が停まっている。
宮崎駿の出世作『ルパン三世・カリオストロの城』で、
ルパンの愛車だったフィアット500。
その復刻版をイタリアの改造メーカー「アバルト」が仕立てて、
フェラーリブランドとして限定販売した名車である。

もともと高級車ばかりが行き交う通りなので、とくに珍しさは感じない。
たださすがにこの車はまだ珍しく、若い男性は目を取られている。

僕はフィアット500に歩み寄り、
ドライバーを車外へ引きずり出した。
自動車強盗さながら、腹部に拳を打ち込み、
東京食品販売国民健康保険組合本部のエントランス内部に寝かせて、
自分が運転席に座り、
車を奪取した。

なぜなら、僕は知っている、このあと起きることを。

この自動車強盗劇に周囲は騒然とし、大勢集まってきた。
警察に通報する動きをする人がちらほら。

そこで僕は叫んだ。

「全員離れろ!」

ぼくは運転席に座ったまま何度も繰り返す。
車を人気の無いところへ移動させたいのだ。

自動車強盗の戯れ言など誰も聞き入れない。

12回目に叫んだとき、
爆発した。
フィアット500アバルト・トリビュートフェラーリが・・・・。

爆発の瞬間、周囲の人々は吹き飛ばされた。
周囲は凄まじい光景に一変した。
東京食品販売国民健康保険組合本部の隣、レストラン『to the Herbs』の
オープンテラスには、爆風で飛ばされた人が積み重なり、
うめき声を上げている。

どうやら死者はいないようだ。

そして僕はどうなったか、

当然重傷を負っているが、3分後には歩き出した。

そのとき、警察が大勢こちらに向ってくるのが見えた。

助け出したドライバーを背負ってその場を去った。
次のミッションのために。

***

僕は、怪我がすぐに治る体質をもっている。
この程度の爆発であれば、
肉体がちぎれない限りは、3分程度で治る。

中学2年の夏、この体質を手に入れることとなり、
外苑西通りへ誘われていく運命を受け入れた。

***

気絶したままのドライバーを背負い300メートルほど歩き、
オンサンデーズの前にさしかかったとき、
道路両側にある路上パーキングに停まっていた5台の車が一斉に走り出し、
全てが僕に向って方向転換をしてとまった。
目の前に、1列目2台、2列目3台のフォーメーションで。

おそらく、いや、確実に、僕をひき殺すつもりだろう。

背負っていたドライバーが目を覚ました。
当然だが、猛烈に僕を恐れている。
僕を突き飛ばして逃げようとしたが、
同時に、この状況にも気が付いたようで、
さらに恐怖が増しながらも、身動きが取れなくなっていた。

とにかく僕はドライバーを守らなくてはならない。
前列の2台が走り出した、

ドライバーを抱えこむようにして、車に僕の背中を向けてかがみ込んだ。
2台が立て続けに僕をはねとばす。

1回目20メートル、2回目10メートル程転がった。
残りの3台が突進してきたらもう堪えられない。
僕の治癒能力も追いつかない。

ドライバーだけを走らせても、そこに突っ込まれたら瞬殺。

どうするか、はやく治れ、僕のからだ。
あと3分、、

そんな願いも届かず、3台が順番に僕を跳ね飛ばした。

最後まで彼を離さずに堪え抜いたが、全身の骨が折れている。

先ほどの警察たちがこちらに気が付き、
向ってくる。
それを察知した5台の車は去って行った。

もう動けない。
この重傷が治るには、10分かかる。

だめだ。
警察に捕まって、全ての計画が崩れてしまう。

警察隊の隊長が僕の目の前に立った。
自害するしかない。残った仲間のためにも。僕が口を割るわけにはいかない。

そのとき、隊長が小声でつぶやいた。
「フラクタル、、、、お待ちしておりました」

なぜ、、
僕のコードネームを警察が?

「さあ、いきましょう」

僕は状況を把握できぬまま、つぶやいた。

「あと8分、まってください」

つづく

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