2012年5月5日土曜日

その場所にあるはずのないもの

僕の好きな映画ランキング1位は『The Piano』。
邦題は『ピアノ・レッスン』。
浜辺に置かれたピアノの姿にノックアウトされた。


湿気で音階がおかしくならないのかな?
砂埃が飛んできたら、鍵盤を押すときにジャシって言うだろうな?
などなどの庶民的な心配をする暇もなく、
このルックスの虜になった。

その場所にあるはずのないものが、存在するときの高揚感は、
未来的である。

これは、いつも僕が言っている「対比」とは少し違う。
対比は対峙する両者の違いを、より浮き彫りにすることで、
新たな表現を生むことですが、
この場合は、砂浜とピアノの対比ではなく、
ピアノという精密機器の禁止事項に対する誘惑のようなもなのかな。

17年程前のフジテレビに「JOCX-MIDNIGHT」という深夜枠があって、
いつも実験的な番組にチャレンジしていた。
『カルトQ』とか『カノッサの屈辱』とかがそうです。
その枠にはシーズンごとにキャッチフレーズが付くのですが、
その中に『音楽美学』というものがあった。
このときのスポット映像がすごくて、
ロープで縛られたピアノが森の空中に吊るされていて、
徐々にロープがほどけて落下するという、意味不明なものでした。
それが大好きでたまらなかった。
確実に使い方を間違っている、禁止事項の大様みたいな映像。

『The Piano』も『音楽美学』も、
ピアノという「意味の質量が大きな物体」がモチーフなので、
否応無しに物語性を放ってしまい、
面白さを刺激しているのだけれど、
禁止事項が生み出すエンターテイメント性に興味があるのです。

そもそも禁止されていることには、楽しそうなものが多い。

・電車の窓から顔や手を出してはいけません。
これって、
「顔や手をだしたらすっごく気持ち良くて楽しくて、
カナブンとか小鳥とかがもしかしたら触れてくるかもね。」って聞こえる。

・混ぜるな危険
これって、
「強力な2種類の洗剤どうしを混ぜ合わせたら、
この世の物とは思えないほど汚れが良く落ちる洗剤が完成してしまい、
お皿の絵柄まで落としちゃったりして、食器業界から総スカンをくらうからやめてね。」って聞こえる。

僕って頭がおかしいのかも、、、、。



僕の好きな映画ランキング第2位『Back to the Future 123』
(2位というのは嘘です。話の流れ的にそうしました。)
言わずと知れた傑作中の傑作です。
普通の人は1か2が好きなのですが、僕は3が大好きです。
当然、前作が面白いから3が面白い訳でして、単独で評価は出来ないのですが、
ものすごく好きなシーンがありまして、、、。


荒い写真で申し訳ないのですが、
デロリアンを馬に引かせているんです。
タイムマシンを馬にですyo。

このパラドクスが未来的でそそられます。

まさに「馬力」?
馬車の原点回帰ですね。
浜辺のピアノと同様に、
その場所にあるはずのないものが、存在するときの高揚感です。
これも「対比」とはちがうんですね。
禁止事項的ではあるかな?
この映画は123全て、現代へ帰るための努力の中に、
「その場所にあるはずのないものが、存在するときの高揚感」が必ずあるんですね。


僕の脳内フィルター越しに判断しているので、
積極的に解釈しがちなので共感を得られないかもしれませんが、
外人が箸を使っている姿を見るだけでも、
同じような高揚感を感じてしまい、未来的だとさえ思ってしまうのです。
(多分、ブレードランナーのデッカードが屋台で使っていたせいで、
そう思うようになった気がします。)