2011年7月28日木曜日

fractale 外苑西通り編(2)

外苑西通り、オンサンデーズ前、

5度車にはねられ、全身の骨がくだけた僕は、
10分ほどで、まったくの無傷に回復した。

警察隊の隊長車に、助け出したドライバーと同乗し、
外苑西通りを南下した。

ドライバーは、5度目にはねられたときに再び気絶したままだ。

隊長の首もとには、黒い龍の入れ墨がある。

ぼくは切り出した、
あなたは一体何者なのですか?

隊長は答えた、
あなたにその治癒能力を与えた人から頼まれました。
守るようにと。

その先を聞きたかったのだが、
どうやら目的地に到着したらしい。
有栖川公園だった。

有栖川宮熾仁親王騎馬像の台座が動き、
階段が現れた。
僕らはゆっくりと暗闇の中へ降りていった。


***


そのころ、
茨城空港にLCC(ローコストキャリア)の春秋航空が上海から到着していた。
乗客はまだ降りてきていないようだ。

普段から混むことの少ない茨城空港に、
黒塗りのロールスロイスファントムが30台、
到着出口に並んでいた。
ロールスロイスファントムといえば、
北野たけしやジョンレノンが所有していた高級車である。
それが30台も連なる姿は、異様。

空港ロビーには、強面でスーツ姿、一目でカタギではないとわかる男達が、
50人程散在している。

ようやく乗客が降りてきた。

入国審査を受けず、セキュリティチェックも受けず、
誰にもとがめられること無く、一人の少女が歩いてきた。
なんと、この春秋航空には、その少女以外の乗客はいない。

到着ロビーにその姿が現れたと同時に、
50人の男が、一斉に懐から銃を取り出しかまえた。その少女に向けて。

そして、全員が発砲した。

少女は全身に銃弾を浴びて倒れ込んだ。

しかし、同時に50人の男も倒れ込んだ。のたうちまわりながら。
そして、鼻血をだして気絶した。

空港職員は悲鳴をあげ、みなこの場から逃げた。

5分ほど時間が過ぎた。

そこへ一人の初老紳士が現れた。
山高帽にホワイトアッシュのステッキ。ステッキとしては珍しい。
倒れた少女の前にたち、つぶやいた、

「ジュリア、、、お待ちしておりました」

2分程の沈黙が去った後、

少女は、すくっと起き上がた。

15歳。
コードネーム『ジュリア』
黒いタイトなワンピース、ノースリーブ。
両腕には見てるだけでも重たそうなブレスレットが4つずつ。
金、銀、銅、アルミ。
2センチ程の幅でフラットな表面、シンプルなブレスレット。
黒髪は腰まであり、前髪は眉の上で揃えてある。

「ひさしぶりね、総監」

なんとその男は、日本の第88代警視総監、池田克彦であった。

「あいかわらず、お見事ですな」

「ちょっとダメージをうけすぎちゃったわ」

「いやいやジュリア、このダメージを約10分で回復とは、能力が進化してますな。
さらに、ダメージを受けると同時に発せられるパルスの威力も増している、
50人を一度に気絶させるほどですから。ハッハッハ。」

「さて、急ぎますか、皆あなたをお待ちですよ。」

「そうね、いそぎましょう。フラクタルもいるんでしょ?」

「もちろんでございます。」

ひらりと黒髪をなびかせて歩き出すジュリアの首元に、赤い龍の入れ墨が見える。

空港の外に出ると、ロールスロイスファントムが30台、
全てペシャンコにつぶされていた。厚さ50センチほどにまで。

「総監、やりすぎよ♡」

つづく


2011年7月26日火曜日

らしさ

僕は、
アートディレクションやデザインのような商いを続けておりますが、
それらの仕事は、
「〜らしさ」と「〜らしくなさ」のコントロールのような気がしている。

短絡的には「意外性の使い方」と思いがちだが、
それとは全く違う。

「〜らしさ」と「〜らしくなさ」は相反する物ではなく、
共存しないと新しいステージは訪れない。

例えば、
「この写真集は和風だから、表紙のタイトルは
どう考えても明朝体がしっくりくるよね!(らしさ)」
という判断は世間が認識しているテイストをリピートしていることになるから、
基本的には好きじゃない。

そこには当然、安心感のようなものが芽生えるので、良い面もある。
その安心感をすんなりと芽生えさせるためには、
実はレベルの高い見せ方が要求される。

「らしさ」という山の頂上にむかって突き進んでいるだけでは、
次のステージは訪れない。
というのが持論です。

先述の例えの場合、
単純にゴシックにすれば良いのかというと、
表面的には「らしさ」と逆にいっているのだが、それは違う。

次のステージへ登るために大切なのは、
「らしくないらしさ」を読み解くことだと思う。

僕が思う理想の制作スキームは、
「らしさ」を見極めることから始めるが、
それは「らしくなさ」を見つけるための行為であり、
その後、「らしくなさ」という山に登り始めます。
「らしくなさ」という山の頂上から、
「らしさ」の頂上へ吊り橋を架ける方法を探します。

その結果としてのゴシックであれば、
次のステージに上がったゴシックになっていると思う。
そこには、ステレオタイプの安心感は無いが、
驚きの中に、安心感を植え付けているはずなのです。

*****

自分自身にも「らしさ」を培っていかなくては、、、と思う。
そうすれば、自分の表現の中で「らしくなさ」の相乗効果を作り出せるから。

fractale 外苑西通り編(1)

日本・・・・
東京・・・・

港区・・・・
北青山・・・・
南青山・・・・

渋谷区・・・・
神宮前・・・・
千駄ヶ谷・・・・

思えば、もう15年ほど、
外苑西通り沿いで生きている。
新卒で就職し、その会社が移転、そして独立して会社を設立、またその会社も移転、
15年間で4ヶ所。
全て外苑西通り沿いだ。

2011年3月8日、外苑西通り、
東京食品販売国民健康保険組合本部の前、
「フィアット500アバルト・トリビュートフェラーリ」が停まっている。
宮崎駿の出世作『ルパン三世・カリオストロの城』で、
ルパンの愛車だったフィアット500。
その復刻版をイタリアの改造メーカー「アバルト」が仕立てて、
フェラーリブランドとして限定販売した名車である。

もともと高級車ばかりが行き交う通りなので、とくに珍しさは感じない。
たださすがにこの車はまだ珍しく、若い男性は目を取られている。

僕はフィアット500に歩み寄り、
ドライバーを車外へ引きずり出した。
自動車強盗さながら、腹部に拳を打ち込み、
東京食品販売国民健康保険組合本部のエントランス内部に寝かせて、
自分が運転席に座り、
車を奪取した。

なぜなら、僕は知っている、このあと起きることを。

この自動車強盗劇に周囲は騒然とし、大勢集まってきた。
警察に通報する動きをする人がちらほら。

そこで僕は叫んだ。

「全員離れろ!」

ぼくは運転席に座ったまま何度も繰り返す。
車を人気の無いところへ移動させたいのだ。

自動車強盗の戯れ言など誰も聞き入れない。

12回目に叫んだとき、
爆発した。
フィアット500アバルト・トリビュートフェラーリが・・・・。

爆発の瞬間、周囲の人々は吹き飛ばされた。
周囲は凄まじい光景に一変した。
東京食品販売国民健康保険組合本部の隣、レストラン『to the Herbs』の
オープンテラスには、爆風で飛ばされた人が積み重なり、
うめき声を上げている。

どうやら死者はいないようだ。

そして僕はどうなったか、

当然重傷を負っているが、3分後には歩き出した。

そのとき、警察が大勢こちらに向ってくるのが見えた。

助け出したドライバーを背負ってその場を去った。
次のミッションのために。

***

僕は、怪我がすぐに治る体質をもっている。
この程度の爆発であれば、
肉体がちぎれない限りは、3分程度で治る。

中学2年の夏、この体質を手に入れることとなり、
外苑西通りへ誘われていく運命を受け入れた。

***

気絶したままのドライバーを背負い300メートルほど歩き、
オンサンデーズの前にさしかかったとき、
道路両側にある路上パーキングに停まっていた5台の車が一斉に走り出し、
全てが僕に向って方向転換をしてとまった。
目の前に、1列目2台、2列目3台のフォーメーションで。

おそらく、いや、確実に、僕をひき殺すつもりだろう。

背負っていたドライバーが目を覚ました。
当然だが、猛烈に僕を恐れている。
僕を突き飛ばして逃げようとしたが、
同時に、この状況にも気が付いたようで、
さらに恐怖が増しながらも、身動きが取れなくなっていた。

とにかく僕はドライバーを守らなくてはならない。
前列の2台が走り出した、

ドライバーを抱えこむようにして、車に僕の背中を向けてかがみ込んだ。
2台が立て続けに僕をはねとばす。

1回目20メートル、2回目10メートル程転がった。
残りの3台が突進してきたらもう堪えられない。
僕の治癒能力も追いつかない。

ドライバーだけを走らせても、そこに突っ込まれたら瞬殺。

どうするか、はやく治れ、僕のからだ。
あと3分、、

そんな願いも届かず、3台が順番に僕を跳ね飛ばした。

最後まで彼を離さずに堪え抜いたが、全身の骨が折れている。

先ほどの警察たちがこちらに気が付き、
向ってくる。
それを察知した5台の車は去って行った。

もう動けない。
この重傷が治るには、10分かかる。

だめだ。
警察に捕まって、全ての計画が崩れてしまう。

警察隊の隊長が僕の目の前に立った。
自害するしかない。残った仲間のためにも。僕が口を割るわけにはいかない。

そのとき、隊長が小声でつぶやいた。
「フラクタル、、、、お待ちしておりました」

なぜ、、
僕のコードネームを警察が?

「さあ、いきましょう」

僕は状況を把握できぬまま、つぶやいた。

「あと8分、まってください」

つづく

2011年7月7日木曜日

コビリツイタ・イメージ

シェイクスピア作品でもっともえげつない作品は、
おそらく『タイタス・アンドロニカス』だと思う。

ローマ帝国の武将タイタスに破れたゴート族の女王タモーラが
言葉に表現できないほどの残虐な復讐をする話です。
タイタスの娘ラヴィニアは夫を殺され、さらに強姦され、
さらに口封じのために舌を切られ、おまけに手も切られる。
そして極めつけが、手を切ったあとに、木の枝をくくり付けるんですyo!

映画でそのシーンを見たときに、
両手首が木の枝になって絶望する姿が目に焼き付いてしまって、、、。
(画像が見つからないので、ここに掲載できないのですが)

そのシーンは、凄く残酷な描写なのですが、とてつもなく美しいのです。
その美しさが手伝って、一方的に残酷さが僕の毛穴から入ってくるような、
無抵抗感に支配されました。
そして気持ち悪くなって吐きました。(お食事中の方すいません)

そのビジュアルがずっと頭から離れずにいます。
ちょっとしたトリガーによって、それを思い出してしまう。
辛いんです。けっこう。

たとえば、こいつです。コブラさん。
これを見ただけでも、ラヴィニアを思い出してしまうんです。
コブラ自体はとても好きなんですけどね。とくにラグボールのシリーズは。



そして、こいつも。
なんかむかつく。


そしてウルヴァリンも。



コブラもフック船長もウルヴァリンも、手に何か付いてるから、
原因が分かり易いのですが、
最近は、そのことに限らずに、なんか変なもんが付いてるだけでも、
ラヴィニアを思い出しちゃうんです。

こんなのでもラヴィニア。


そしてこんなのでも。
これハンズフリーフォン?


さらに、人間じゃなくても、本来の姿に異物が融合していると、
ラヴィニアを思い出しちゃう。

例えばこんなの。


さらに世界遺産でも。


あと、最近の女子がやってるネイルアートも、かるくラヴィニアなんです。
もうトラウマですね。

極めつけはこれ。自爪なんだけどね。
うううっ、、吐きそう。


生物はきっと、素体がイチバン美しいと思う。
(この発言は、いろいろな問題を誘発しますが、見過ごして下さいませ。)

ちょっと、意味が違うけど、
工業製品とかも出荷されたときのままが美しい気がする。
改造車とか、携帯のシールカスタマイズとか好きじゃないです。

でも、生物と異物の融合であっても、ラヴィニアの記憶は出てこなくて、
なおかつ僕の中で永遠の美として記憶されており、
ガンダムとともに私をデザイン業界へと駆り立てた写真があります。

これです。

これを初めて見たときはかなり若かった。
ショックでした。素敵すぎて。
そのころは、こういう形をしている義足があることを知らなかった。
美しい。
足の形を模して、足があるかのようにするための義足ではない。
そんなことはもうどうでも良くて、
膝から下が無い人がいかに速く走ることが出来るかということを
追求したフォルムです。
パワーアップアイテムです。

障害に向き合うスタンスを真剣に考えた瞬間でした。

僕の母が、第1級の障害者認定を受けている人なので、
人生観ごと変わったのです。もちろん良い方向にです。

この写真の女性は、我々よりも進化する可能性を秘めていると感じた。
僕にそう思わせたこのデザインに惚れた。

そして何よりも、この写真が美しいことに感動しました。
完璧でセクシーな上半身、鍛え抜かれたヒップラインと太もも。
生命力は僕よりも確実に上です。
ナノナノグラフィックスを立ち上げてからずっと、
会議室にこのコピーを貼っていたくらい好きですし、
もはや自分のスローガンのような存在になっています。
方向性に迷ったときに、幾度となく大切なことを気付かせてくれました。

でも今は、卒業しています。この写真を。
引っ越しを機に貼るのはやめました。いろいろ僕も成長したからね。