以前ご紹介した、架空の1日を再構成した写真集
『写真本 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24』
(シャシンボン・ニジュウヨンエイチ)
の出版記念写真展の企画です。
司会:加藤陽之さん(STUDIOVOICE編集長)
出演:この本の企画編集である、安藤夏樹さん(日経BPコンサルティング)
アートディレクション担当の、おおうちおさむ(ナノナノグラフィックス)
このほかにも、参加写真家さんのトークショーが4回あるのですが、
制作側の人間だけでおこなう珍しい企画です。
安藤さんは、その4回全ての司会をこなします。マルチな方です。
御正室はガンダム好きでした。
向って右から、加藤さん、安藤さん、おおうち |
白熱 |
オンサンデーズの草野さんも白熱 |
終了後も白熱。手前は日経BPのアイドル、ナミコちゃんとマサエちゃん。 |
イーストさんたち。ヒラーキーさん後ろ向きご容赦。 |
とても内容の濃いトークになりました。
加藤さんはSTUDIOVOICEの「紙」での復刊を目指し、
かっこいいスタンスで試行錯誤中です。
最近は、出版業界の人が集まると、
紙と電子メディアの将来のことを必ず話す風潮。
両者は比較する事自体がナンセンスだと思うのですが、
加藤さんがおっしゃっていたことが、妙に心に響きました。
誤解覚悟で要約すると、
「戻る場所としての紙媒体を、残しておく必要がある」
ということです。
いろんなことの答えがこの言葉に集約されているような気がします。
皆が共感できることではないと思いますが、
私は強く感銘を受けました。
話は変わりますが、
今年の1月に、
全日本卒業アルバム印刷組合というところから、お仕事の依頼を受けました。
卒業アルバム業界にも電子化の波が押し寄せていて、
紙で作る高価な本に対する理解が減っているとのこと。
紙で作る場合、掲載写真数が限られるので、
「うちの息子の写真が少ないじゃないか(怒)」
といったことがおこります。
電子メディアの場合は、大量の写真データを提供できるメリットがあり、
「うちの息子の写真がたくさんのってて幸せざますう。」
ということになるのですが
そこには秀逸な編集は存在しません。
全日本卒業アルバム印刷組合としては、電子メディアを否定はしないが、
紙の本として残す価値をもっと訴求できたらいいなという思いがあり、
わたしにご相談下さりました。
今年度に配る予定の何十万冊もの卒業アルバムに、
そのことを訴求する小冊子をはさみ込みたいのだそうです。
紙であることの良さ、、、、。
そこで、こんなことを提案しました。
見開き単位で進行する冊子とし、
右ページに本(卒業アルバム)の写真。左ページに人の歴史を感じさせる写真。
その関係を崩さずに数十見開きが続きます。
ページを追うごとに、
右の本はだんだんぼろぼろになって行くのですが、
左の人の歴史写真は、卒業し大人になり、社会的地位を築き、
結婚して子供ができる、という具合に、成長して行きます。
そして生まれた子供が小学校へ入学して終わります。
また素晴らしい人生が始まるのです。
タイトルは「卒業アルバムと一緒に年を取るということ」です。
組合のみなさんに大変気に入っていただきました。
くどくどと思いを語る冊子よりも、
印象で理解してもらえるようにした狙いが、伝わりました。
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表紙です。 |
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こんな見開きが続きます。右の本はどんどんボロくなっていきます。 |
3.11のときに、卒業アルバムは大量に流されてしまいました。
生徒さんに渡す前のものがほとんどで、
ほんとうに悲しい。
学生さんだけでなく、人々の大切な思い出としてのアルバムも沢山失われました。
この小冊子もストップです。
全日本卒業アルバム印刷組合では、
なんとか卒業アルバムの復刻を作れないかと検討中です。
もちろん昔の物も。
震災被害に遭う前の美しい町並み、自然、校舎、生活、
それらが写っているアルバム。
それらは二度と撮影できない風景となってしまいました。
「シャシンボン・ニジュウヨンエイチ」のコンセプトは、
「東京の2010年の記憶と記録」。
今回の震災と、 全日本卒業アルバム印刷組合の仕事に触れて、
また違う意味での 「シャシンボン・ニジュウヨンエイチ」
の有り様が見えてきた気がします。
「シャシンボン・ニジュウヨンエイチ」の第二弾を実現したいです。
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